ホテルにおすすめのCRM7選!導入メリットや比較ポイント、PMSとの違いも解説
ホテルにおすすめのCRM7選!
導入メリットや比較ポイント、PMSとの違いも解説

リピーターの獲得に役立つCRMは、ホテルの売上を安定化させる重要な役割を担います。
しかしながらツールの種類が多く、選び方が分からないケースもあるのではないでしょうか。
今回は、ホテル事業向けのCRMの選び方やおすすめツールをご紹介します。
CRM導入で期待できる効果や導入前の注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
ホテルで活用すべきCRMとは
CRM(Customer Relationship Management)とは、ゲストとの関係構築をデータ管理や分析の面からサポートするシステムです。ゲストの基本情報や細かな嗜好など、アナログでは管理が追いつかない膨大な情報を一元管理することで、ホテルの接客の質を向上させます。
同じホテルを利用したとき、前回宿泊した際に伝えた要望に配慮があるとうれしいですよね。卓越したホテルスタッフであれば、システムに頼らずともホスピタリティあふれる接客ができるかもしれませんが、全員がそのようにはできるとは限りません。
しかし、接客のポイントとなる情報をCRMによってホテル全体で共有すれば、スタッフを問わず一定水準の対応ができるでしょう。ゲストに合わせたおもてなしをスタッフ全員が同じ質で提供できるため、リピーター獲得の観点においても、CRMは欠かせません。
また、CRMの導入がもたらす接客のパーソナライズ化は、OTAへの依存度軽減にも貢献します。じゃらんnetなどに代表されるOTAサイトは、インターネット露出やSEO対策の観点から、ホテルの集客アップが期待できます。一方で、その予約比率が高過ぎると、成約のたびに発生する手数料が大きな負担になりかねません。近年は格安ホテルも種類が豊富で、低価格競争になれば減収は避けられないため、競合他社と料金以外で張り合う手段が求められます。
CRMにはその手段になり得るポテンシャルが秘められていますので、理解を深めていきましょう。
ホテルがCRMを導入するメリット

ホテルがCRMを導入するメリットを3つご紹介します。
リピーターの獲得
先述の通り、CRMの真価はリピーター獲得に発揮されます。
そのゲストに対面したスタッフでなければ得られない情報を効率よくホテル全体に共有すれば、高品質な接客を実現できるでしょう。
例えば、前回と異なるタイプの客室を予約していたゲストがチェックインに来たとします。
その情報が即座に確認できれば「前回ご利用されたタイプのお部屋に空きがございますが、そちらにご変更されますか?」とお声がけできますよね。
ゲストが実際に変更を希望するかはともかく、ホテルが個々のゲストへの気遣いを欠かさない姿勢が伝わります。
CRMを活用した細やかな接客は、ゲストに「また泊まりたい」という気持ちを抱かせるでしょう。
データ活用によるマーケティング施策の実施
蓄積した顧客データをさまざまな条件で整理し、数字に裏づけされたマーケティング施策を打ち出せるようになるのもCRMの強みです。
利用の多い客層はどこなのか、頻繁に予約されるプランはどれなのか、現場の肌感覚だけでは把握しにくい全体像を正確な数値で示してくれます。
シェアの高い客層向けにサービスを展開したり、反響の大きかったプランを大々的にアピールしたり、数字根拠に基づいた確実性の高い訴求ができるでしょう。
資金を投じる際のリスクも軽減されるうえ、データの裏づけがある分、安心して新たな施策にも挑戦できます。
スタッフの業務効率化
情報共有の早さが魅力のCRMを導入すれば、スタッフの業務効率化も期待できるでしょう。
口頭や紙のメモといった伝達手段のバラつきを抑え、職場におけるコミュニケーションが最適化されます。
ゲストに関する情報はCRMのシステムで確認する体制が整えば、担当者が不在でもゲストを待たせることはありません。
一貫した対応で、ゲストにサービスを提供できるようになります。
またスタッフの異動や退職に伴う引き継ぎも円滑になり、柔軟な新体制への移行を実現。
そのため体制変更によって発生するコストも軽減できます。
CRMとホテル管理システム(PMS)の違いは?
CRM導入を検討するに当たって、押さえておきたいのがホテル管理システム(PMS)との違いです。
ホテル管理システム(PMS)は顧客管理の機能を内包したうえで、ホテルの業務を一通りこなせるので、CRMよりコストパフォーマンスが優れていると言えるでしょう。複数の店舗の顧客情報を統合管理できるのがCRMの強みの一つですが、そもそも複数の店舗を展開していない場合はその強みを活かせません。似たような目的のためにシステムへ費用を割くなら、ホテル管理システム(PMS)の方ができることは増えるでしょう。
CRMは客層によっても向き・不向きが分かれます。ビジネス街に近いホテルであれば、出張などで繰り返しの利用が見込めるため、CRMによるリピーター獲得を狙いやすいでしょう。一方、インバウンドの利用が多い場合は新規のゲストが多く訪れるので、メルマガ配信やプッシュ通知などをしてもリピーター獲得につながりません。このような場合もCRMでのリピーター獲得に注力するのではなく、ホテル管理システム(PMS)でホテル運営を包括的に効率化した方がパフォーマンスの向上が期待できます。
ホテル運営の現状や客層の傾向などに照らし、CRMとホテル管理システム(PMS)のどちらを導入するべきか検討しましょう。費用は当然かかりますが、両方を採用するパターンもあるため、このあとの内容も参考にしてください。
ホテルがCRMを選ぶ際の比較検討ポイント

ホテルに適したCRMを選ぶためのポイント五つを解説します。
マルチチャネルに対応しているか
ゲストは実にさまざまな手段でホテルとのコミュニケーションを行います。
従来の電話やメールに加え、SNSやWebサイトなど、ホテルも対応の幅を広げなければなりません。
多様化するコミュニケーションチャネルにCRMがどこまで対応しているかは、極めて重要なポイントです。
現在対応している、あるいは、これから運営に取り入れようとしているチャネルにCRMが対応している必要があります。導入前に確認をしておかなければ、顧客情報の一元管理は実現できず、新たな業務負担が生まれてしまうでしょう。
現状ホテルが対応しているチャネルが少ない場合でも、増えることを見越して、マルチチャンネルに富んだCRMを選ぶのがおすすめです。
既存システムと連携できるか
取り扱う情報の都合上、予約管理を担うホテル管理システム(PMS)や会計処理を行うPOSとの互換性も考慮しなければなりません。
ホテル管理システム(PMS)と連携させてフロント業務を円滑にしたり、POSと連携させてゲストの購買履歴をチェックしたり、連携ができれば機能に拡張性が生まれます。
仮に既存のシステムと連携せずにCRMを運用してしまうと、一人の顧客に対して二つの情報が蓄積されるため、かえって情報管理が複雑化してしまいます。
情報の一元管理がCRMを導入する最大の利点の一つなので、既存システムとの互換性は必ず事前に確認しましょう。
マーケティング施策に活用しやすいか
ホテルのマーケティングに活かせる機能が充実しているか否かも、適切なCRMを選ぶために忘れてはいけない基準です。
ただ機能が豊富なものではなく、抱える課題の解決に役立ちそうな機能を搭載したシステムを選びましょう。
購買履歴の分析に力を入れたいのに、メールマーケティング機能が優れていても仕方ありませんよね。
製品によって用意されている機能にも個性があるため、ご自身の考えるマーケティング戦略の支えになりそうなものを選んでください。
スタッフが操作しやすいか
いざ導入してもユーザビリティに乏しく、複雑な操作に現場が混乱しては本来の機能を果たせません。
スタッフの誰もが扱えて、業務の効率化を図れるのが理想的です。
とはいえ扱いやすさといっても、操作のしやすさや画面構成など色々とあるので、実際に触ってみるのが一番の判断材料となるでしょう。
無料トライアルを提供している製品もあるため、現場スタッフと一緒に試しながら、ホテルにとっての最適解を見つけてください。
費用対効果は優れているか
一方でいくら機能満載のCRMを導入しても、ホテルの環境に適していなければ、費用対効果は薄くなります。
機能が供給過多になっていないか、逆に不足しているものはないか、予算の範囲内で慎重に候補を絞っていきましょう。
CRMのような多岐にわたって業務で活用するシステムは、一度導入すると長い付き合いになります。
初期費用や月額の利用料金はもちろん、利用が長期になれば、保守費用が発生することもあるでしょう。
ホテルにとって費用対効果に優れる製品を選択できれば、長期的な経費の最適化につながります。
ホテルにおすすめのCRM7選
ホテルにおすすめのCRMを7つご紹介します。 これまでに解説した内容を踏まえ、ホテルに適したものを探してみましょう。
D-Lipeat
バリューコマース株式会社のD-Lipeatは、ホテル・旅館の自社集客の課題解決に貢献するCRMです。
クーポン配信や会員ランクの設定で、リピーター化を促進します。
また、自社予約システム「DirectIn S4」やホテル管理システム(PMS)「Dynalution」が保有する顧客情報・宿泊情報と連携。
蓄積した顧客データはRFM分析によって分類、顧客グループ毎にLINEやメールでコミュニケーションを行うことで、接客に差をつけられます。
Zoho CRM
ゾーホージャパン株式会社のZoho CRMは、世界中で25万もの企業に導入実績があるCRMです。
ホテルに同社のCRMが導入された事例には、星野リゾートも名を連ねます。
リリースから25年以上にわたり最前線で活用されており、その経験から開発された45以上のビジネスツールはホテル運営の強い味方となるでしょう。
これまでのノウハウとビジネスツールの豊富さを背景に拡張性は抜群なので、ホテルの成長に合わせて、カスタマイズしながら長く活用できるシステムです。
eセールスマネージャー
ソフトブレーン株式会社のeセールスマネージャーは、5,500を超える企業への導入実績と95%の利用継続率を誇るCRMです。
高い利用継続率を支えているのは、定着支援専門チーム。
稼働から業務へ定着するまでの3ヵ月間、専任の活用アドバイザーが初動を万全の体制でフォローします。
サポートデスクはもちろん、活用支援Webサイトやオンライン研修まで用意されており、好みの方法で業務に浸透するまでのサポートを得られます。
初めて導入する、という場合も安心ですね。
F-RevoCRM
シンキングリード株式会社のF-RevoCRMは、柔軟性に優れ、既存システムに合わせられるCRMです。
特筆すべきは、オープンソースの統合型システムであること。
あとからカスタマイズがしやすいように設計されており、利用者の希望に合わせたシステムを形成するのも容易です。
CRMの導入に際し、ほかを変える必要が少ないコストパフォーマンスのよさも同システムの魅力と言えるでしょう。
すでに形成されているホテル運営の仕組みを強化したい、という場合におすすめです。
WASIMIL
株式会社AZOOのWASIMILは、ホテル業界向けに開発されたCRMで、ゲストとのコミュニケーションを最適化することに長けています。
チェックイン前・滞在中・チェックアウト後、ホテルが適切と考えるタイミングでゲストとのコミュニケーションを実現。
リピーター獲得の強化を考えるホテルであれば、最初に候補に挙がるCRMです。
OTAとの同期にも対応しているので、オーバーブッキングをはじめとしたトラブルも防止します。 さらに自社HPからの流入を増やす方法も立案してくれるので、OTAと自社HPの集客をバランスよく強化できるでしょう。
tripla Connect
tripla株式会社のtripla Connectは、ホテル業界を得意とするCRMで、顧客情報の分析とそれに基づいたゲストへのアプローチ機能が充実しています。
個々の顧客情報の管理はもちろん、宿泊目的や客層などの条件で分類できるため、マーケティングに活かしやすいでしょう。
特別なプランやクーポンをメールマガジンで送信する機能も搭載し、パーソナライズされた訴求を可能にします。
数値と分析を重んじるホテル運営には、最適なパートナーになりそうですね。
Synergy!
シナジーマーケティング株式会社のSynergy!は、国産のクラウド型CRMで、無駄のないコストパフォーマンスがうれしいシステムです。
顧客情報の管理を行うデータベースを基本機能とし、メール配信やLINE配信などは自由に付け外しができるトッピング形式を採用しています。
運営方針の転換や事業拡大などに合わせて、システムも更新できるのはありがたいですよね。
費用対効果の優れたCRMと言えるでしょう。
CRM活用で効率的なマーケティング戦略やリピーター獲得を行おう

ホテルでCRMを効果的に活用すれば、アナログな方法では実現できない規模で業務の効率化やサービス向上を図れます。
とりわけ、リピーター獲得はCRMが専門とする分野であり、宿泊前から宿泊後までゲストとの多角的なコミュニケーションを生み出します。
ゲストとの良質なやりとりは、顧客満足度の向上や売上の増加をもたらすでしょう。
マルチチャネルへの対応や既存システムとの連携の可否など、ご紹介した基準を参考に、ホテルに適したツールを見つけてください。
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