宿泊施設の種類一覧|ホテル・旅館・民泊などの違いを徹底解説

宿泊施設の種類一覧|ホテル・旅館・民泊などの違いを徹底解説

ホテル業界に新規参入する場合には、宿泊施設の具体的な種類について把握しておく必要があります。
本記事では宿泊施設の種類や運営形態について解説していますので、経営の参考としてお役立てください。

旅館業法で分類されている宿泊施設の種類

旅館業法で分類されている宿泊施設の種類

国内の宿泊施設は、旅館業法で以下の4種類に分類されています。

  • ホテル営業
  • 旅館営業
  • 簡易宿泊所営業
  • 下宿営業

それぞれの内容は、以下の通りです。

ホテル営業 洋式の構造または設備を備えた宿泊施設の営業
旅館営業 和式の構造または設備を備えた宿泊施設の営業
簡易宿泊所営業 宿泊する場所を大人数で共用する構造または設備を設置する宿泊施設の営業
下宿営業 1ヵ月以上の期間を一つの単位として宿泊させる営業

宿泊施設の種類一覧

宿泊施設の種類一覧

宿泊施設は、以下の11種類に分けられます。

  • ホテル
  • ビジネスホテル
  • シティホテル
  • リゾートホテル
  • カプセルホテル
  • 旅館
  • 民宿
  • ユースホステル
  • ゲストハウス
  • 民泊
  • グランピング

それぞれの概要について詳しく解説します。

ホテル

ホテルは洋室をメインとする宿泊施設です。さらに細かく分類すると、ビジネスホテルやシティホテル、リゾートホテルに分類されます。

新型コロナウイルスの影響で長らく需要が落ち込んでいたホテル業界ですが、2022年の後半から盛り返しの兆しを見せており、現在ではリバウンド需要によって外国人観光客などで賑わっています。その中でも韓国・台湾などの東アジアやベトナム・シンガポールなどの東南アジア、アメリカ・カナダからの外国人観光客の増加が目立っています。

インバウンドの増加によって、今後さまざまな業態のホテルのニーズが高まっていくと見られています。

ビジネスホテル

ビジネスホテルとは、主にビジネスマンが出張などで使う用途に特化したホテルです。1〜2人での利用に最適化されている点が特徴です。

ビジネスマンが利用する機会が多いことから、駅の近くなど交通の便が良いところに立地しているところが多いです。

シティホテル

シティホテルとは、ビジネスや観光、レジャーなどさまざまな目的で利用されるホテルです。客室はシングルやツイン、ダブルだけでなく、多くの人数で宿泊できるスイートルームまで幅広く用意されています。

中には、結婚式などの冠婚葬祭に用いる宴会場を設けているホテルもあります。プールやフィットネスジム、レストランなどのアクティビティや飲食施設が充実している点も特徴です。

このようにシティホテルは、快適性や非日常を織り込んだ施設としての要素が強い宿泊施設となっています。

リゾートホテル

リゾートホテルとは、テーマパークに隣接していたり、海や山、高原など自然のアクティビティを楽しめるエリアに建てられたりしているホテルです。温泉や大浴場、プール、カラオケ、複数のレストランやバーなどリゾート特化したさまざまな設備が整っています。

非日常的な体験がコンセプトであることから、観光地とホテルとの送迎など多くのサービスが提供されます。

カプセルホテル

カプセルホテルとは、寝具や小型テレビが備え付けられたカプセル型の寝室を提供する宿泊施設であり、簡易宿泊所に分類されます。大人が横になれる程度の広さのカプセルが室内に配置されており、効率的に多くのゲストを宿泊させられます。

宿泊料金が安い点がカプセルホテルのメリットであり、サウナなどのリラクゼーション施設を併設しているカプセルホテルも多いです。

旅館

旅館とは、和室や和式の設備で構成されている宿泊施設です。温泉施設を備えた温泉旅館や観光地の観光旅館などが旅館に分類されます。

旅館は和式の建築方式や温泉、和食の提供など日本的な雰囲気を満喫できるため、外国人観光客に人気があります。

民宿

民宿は、主に個人が経営している小規模な宿泊施設です。旅館と比べて、より家庭的でアットホームな雰囲気で宿泊客をもてなす点が特徴です。また民宿では、民家の一部分を改装して宿泊客に提供しているケースが多いです。

土地ならではの旬な食材を使った手料理や郷土料理を提供しているところが多く、地域の文化や自然に触れあえる点も魅力です。

ユースホステル

ユースホステルとは、青少年が安全かつ低料金で旅できるように考案された宿泊施設です。料金は1,000〜3,000円程度に抑えられており、長期滞在やグループ割引が用意されているところもあります。

ユースホステルではベッドは2段式など簡易的な作りになっているケースが多く、他の宿泊客と共用になっているケースもあります。ユースホステルは低予算で旅行をしたい人向けの宿泊施設であり、バックパッカーや学生、若い方に人気があります。また宿泊者同士で交流ができる点も特徴です。

ゲストハウス

ゲストハウスとは、ホテルや旅館よりもカジュアルでアットホームな雰囲気の宿泊施設となっています。ドミトリーと呼ばれる相部屋形式の部屋が一般的であり、外国人観光客が利用するケースが多いです。

共用キッチンやリビングスペースが設けられていますので、他の宿泊客と食事をしたりコミュニケーションを取ったりできます。一人旅の宿泊客やバックパッカーに人気があり、思い出作りをサポートしてくれる宿泊施設です。

民泊

民泊とは、住宅の全部または一部を活用してサービスを提供する新しいタイプの宿泊施設です。民泊の料金は一般的に一泊あたり数千円から一万円程度に設定されています。大都市の中心部や人気の観光地では料金が高くなる傾向がありますが、郊外や地方ではリーズナブルな価格に設定されているケースが多いです。

アットホームな雰囲気であることから、その地域ならではの魅力を堪能したい方向けの宿泊施設といえるでしょう。

グランピング

グランピングとは、「グラマラス(優雅な)」と「キャンピング(キャンプ)」を組み合わせた造語であり、快適にアウトドアを楽しめる新しいスタイルの宿泊施設です。テント設営や食事の準備などが不要であり、ホテルのようなベッドやソファが備えられたおしゃれなテントやコテージに滞在できる点が魅力です。

施設によっては、プライベートな温泉やプール、バーベキュー設備などが完備されている場合もあり、自然の中でぜいたくな時間を過ごすことができます。キャンプの楽しさとホテルの快適さを兼ね備えていることから人気が高まっており、さまざまなタイプのグランピング施設が登場しています。

高級感のある設備が準備されている施設も多く、通常のキャンプよりも余裕を持って自然を満喫できるところが多いです。

宿泊施設の経営形態の違い

宿泊施設の経営形態の違い

宿泊施設の主な経営形態は、以下の4つが挙げられます。

  • 所有直営方式
  • リース方式
  • 運営委託方式
  • フランチャイズ方式

それぞれ詳しく解説します。

所有直営方式

所有直営方式とは、宿泊施設の所有者が自ら経営から運営まで行う経営形態です。所有方式を採用している代表的なホテルには、プリンスホテルやリーガロイヤルホテル、帝国ホテルなどが挙げられます。また個人経営の温泉旅館や民宿、ペンションでも所有直営方式を採用しているところが多いです。

所有直営方式は、経営者や運営者が不動産を所有していることから社会的信用が高く、銀行からの融資を受けやすいメリットがあります。また重要な意思決定や責任の所在が明確である点も特徴です。

しかし、土地や建物の購入費用や維持費用などの資金が必要になる点や、経営の状態によって収入が下がってしまう点がデメリットといえるでしょう。

リース方式

リース方式とはホテルオーナーが運営会社に建物を貸し出して、オーナーへリース料金を支払って経営する運営形態です。東横インやホテルルートインなどチェーン展開しているビジネスホテルで採用しているケースが多いです。

リース方式のメリットは、ホテルの収益にかかわらず定期的なリース収入を得られる点にあります。また運営会社にとっては、土地や建物の購入など初期投資のコストを抑えられるため、低コストで新規オープンできるメリットもあります。

しかし、ホテルの売上が上がってもオーナーが得られるリース料金は同じである点や、ホテルの売上が悪化しても変わらずリース代金を払い続けなければいけない点がデメリットです。

運営委託方式

運営委託方式とはMC(Management Contract」)とも呼ばれる運営方式であり、土地と建物を所有するオーナーが別の会社にホテルの運営を委託します。そのためオーナーは運営会社へ委託料を支払い、任された運営会社がホテル運営を行います。運営委託方式を採用している代表的なホテルは、ニッコー・ホテルズ・インターナショナル、星野リゾート、オークラホテルズ&リゾーツ、ホテルJALシティなどが挙げられます。

運営委託方式におけるオーナーのメリットは、ノウハウを持つ会社に運営を委任できる点です。また運営会社にとっては、土地や建物、設備投資が不要になり、低リスクで運用をスタートできるメリットがあります。

しかし、経営に複数の関係者が関わるため、意思決定に時間がかかる点がデメリットです。

フランチャイズ方式

フランチャイズ方式とは、チェーン本部が持つブランドやノウハウをそのまま使ってホテル運営を行う運営形態です。フランチャイズ方式を採用している代表的なホテルは、アパ(APA)ホテルやホテルサンルート、スーパーホテルなどです。

フランチャイズのメリットは、チェーン本部のロゴやホテル名などの大きなブランド力を利用できるだけでなく、経営ノウハウやスタッフの教育制度なども使える点にあります。そのためホテル業界に初めて参入する場合でも、フランチャイズ方式のメリットを最大限に活用できれば、ホテル経営に活路を見出しやすくなるでしょう。

しかし、デメリットはロイヤリティの支払いであり、売上から決められた割合のロイヤリティを毎月支払う必要があるのです。

宿泊施設の開業前に種類や特徴を理解しておこう

宿泊施設の開業前に種類や特徴を理解しておこう

宿泊施設にはさまざまな種類があり、規模や宿泊客のニーズ、単価、初期費用などが異なる点に注意が必要です。ホテル業界にチャレンジする場合にはそれぞれの特徴と需要をしっかり見極めて、自社にあったタイプの宿泊施設と営業形態を選ぶことが重要です。

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