ホテルで活用すべきプロモーション動画│効果や制作・撮影のポイントを解説
ホテルで活用すべきプロモーション動画│効果や制作・撮影のポイントを解説

宿泊施設のマーケティングでインターネットやSNSが用いられる昨今では、ホテルや旅館のPRを目的にプロモーション動画を活用するケースが増えています。プロモーション動画は、画像や文章だけでは伝わらない宿泊施設の魅力の表現が可能です。動画を活用することで、館内や客室、レストラン、温泉、プールなどの様子を分かりやすく伝えられ、ゲストは宿泊した際のイメージをより想像しやすくなります。
今回は、ホテルのプロモーション動画がもたらす効果やメリット、制作や撮影のポイントを解説します。
ホテルのプロモーション動画とは
ホテルのプロモーション動画とは、エントランスやロビー、客室など館内の様子のほか、ホテルの長所や強みを撮影した動画のことです。
映像に音声を加えることもあれば、編集で効果音やBGM、ナレーションやテロップを加える手法もあります。
ホテルや旅館の自社HPやSNSで紹介動画として配信されるのが一般的で、宿泊施設の特徴や魅力を伝えられるため、集客促進に効果的です。また、温泉やプール、ガーデンやスパといった施設の疑似体験を提供し、ほかの宿泊施設との差別化を図る手段としても活用されます。
ホテルのプロモーション動画を活用するメリット

各宿泊施設の自社HPやSNS、動画共有サイトを見れば分かるように、ホテルや旅館はPRの一環として積極的にプロモーション動画を活用しています。 ここからは、ホテルのプロモーション動画を活用するメリットを大きく4つの分けて詳しく解説します。
ホテルの雰囲気や魅力を伝えられる
ホテルがプロモーション動画を活用する最大のメリットは、館内の雰囲気や魅力を効果的に伝えられる点です。映像には画像にはない「動き」があるため、臨場感が生まれ、視聴者の心に残りやすくなります。
映像が持つ情報量は非常に大きく、文字のみの場合のおよそ5000倍もの伝達能力があるといわれています。そのため、ホテルのプロモーション動画は画像よりも正確に、かつ鮮明に情報を伝えることが可能です。
例えば、「自然体験ができる宿泊施設」としてPRする場合、風景の画像では一瞬の場面しか表現できません。しかし、鳥のさえずりや木の葉が揺れる映像を用いれば、説得力が増します。画像や文章だけでは、場合によっては一辺倒な表現になりかねませんが、動画であればリアリティのある表現が可能です。
魅力的なプロモーション動画を公開すれば、宿泊施設の見込み顧客である潜在顧客の興味を惹くことができます。潜在顧客を多く獲得できれば、売上やリピーターの増加にもつながります。
ブランディングにつながる
ホテルのプロモーション動画は、その内容次第でブランディングに役立ちます。 宿泊施設におけるブランディングとは、競合とのコンセプトやオリジナリティの違いを具現化し、自社ホテルや旅館のイメージアップを図ることです。
ブランディングを意識したホテル動画では、施設の様子だけでなく、ホテルの世界観やスタッフの接客対応などを視聴者に伝えることができます。これにより、宿泊施設の信頼性が高まり、ゲストに安心感を与えられます。
ブランディングを突き詰めることで宿泊施設のイメージが明確になり、ターゲット層に訴求するプロモーション動画を制作できます。
例えば、富裕層がターゲットであれば、豪華な内外装・客室、レストランの高級料理を、一般大衆層がターゲットなら価格の安さや親しみやすさを強調することで、ゲスト層の関心を引くことが可能です。
インバウンド集客に利用できる
ホテルや旅館のプロモーション動画は、外国人ゲストへのPRにも有効です。
観光庁が実施した外国人が旅行情報をどのように入手したかに関する調査結果によると、訪日外国人が出発前に得た旅行情報源で役に立ったものとして、「動画サイト」が35.2%と最も多い回答になっています。次いで、「SNS」が32.5%、「個人のブログ」が27.4%になっており、事前の情報収集で多くの外国人が動画サイトやSNSを参考にしているかが分かります。
出典:観光庁|訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001742979.pdf
ホテル業界は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020~2022年の外国人宿泊者数が大幅に減少しました。しかし、コロナ収束後は、海外からの観光客数が急増しています。2024年8月の外国人延べ宿泊者数は第1次速報値で1281万人となり、2010年以降の単月としては過去最高値を更新しました。
宿泊施設のインバウンド需要が増加している今、外国人ゲストへの集客戦略は欠かせません。映像であれば、言葉が分からなくてもホテルの魅力を伝えられますし、イメージに合ったBGMを入れることで、より効果的にPRできるでしょう。
出典:【観光庁統計値】8月宿泊者数が単月で過去最高を更新 外国人宿泊者数も同月最高に - 観光経済新聞
https://www.kankokeizai.com/【観光庁統計値】8月宿泊者数が単月で過去最高を/
宿泊旅行統計調査 | 観光統計・白書 | 観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shukuhakutokei.html
さまざまな場面や媒体で活用できる
制作したプロモーション動画は、さまざまな場面や媒体で活用できます。
自社HPにホテル・旅館の紹介動画として挿入することもできますし、SNSや動画サイトにアップロードすれば、宿泊施設の認知度を高めることも可能です。さらに、SNSアカウントや動画チャンネルを通じて、自社HPや予約サイトに誘導することもできます。また、費用は高額になりますが、ホテル動画をテレビCMで公開すれば、高い集客効果が期待できます。
プロモーション動画は、宿泊施設のPR以外にも活用できます。例えば、採用動画の一部に取り入れれば、求人広告だけでは伝わらない施設内の雰囲気を伝えることが可能です。
このように、ホテルのプロモーション動画は、長期的に使用できる重要なリソースとなり得ます。
プロモーション動画を制作する前の準備

続いて、ホテルのプロモーション動画を制作するに当たって、事前に決めておくべきことやポイント、撮影時の注意点を解説します。
目的を決める
まずは、プロモーション動画を制作する目的を考える必要があります。言い換えれば、プロモーション動画を流すことでどんな成果を得たいかを明確にしなければなりません。
例えば、以下のような目的が挙げられます。
- 宿泊施設の認知度を高めたい
- ホテルや旅館の施設、サービスをPRしたい
- ブランドイメージを向上させたい
- 施設の特徴を分かりやすく伝えたい
- 外国人観光客の興味を惹きたい
プロモーション動画の目的が明確になれば、撮影する対象やストーリー、掲載する媒体などを決めやすくなります。
ターゲットを決める
次に、訴求を行いたいターゲットを決めていきます。視聴者を想定してプロモーション動画を制作することで、動画に組み入れる情報の選定がしやすくなります。
一例として、ビジネスパーソンをターゲットにしたホテルで、ワーケーションに特化した宿泊プランを動画内で紹介することが挙げられます。業務や打ち合わせに集中している様子や、ジムやサウナ、プールなどの娯楽施設を楽しんでいる様子などを撮影することで、滞在中のイメージをより膨らませられます。
併せて、ビジネスパーソンが頻繁に利用するニュースサイトへの出稿も検討すると良いでしょう。
コンセプトを決める
ホテルのプロモーション動画を制作する上で重要なのが、コンセプトの決定です。ホテル動画を公開する目的や、動画を通じて最も伝えたいことが何かを明確にしなければなりません。言い換えると、動画のテーマを決めることが大切です。以下に一例を挙げるので、コンセプトを決める際の参考にしてください。
世界観を伝える
宿泊施設の方向性や独自の世界観を伝えたい場合、ドラマティックな内容に仕上げることが一般的です。映像の中に印象的なテロップを入れ、BGMを付けることで視聴者の感情を効果的に揺さぶることができます。
スタッフのおもてなし
旅館やゲストハウスなどでスタッフのおもてなしを強調したい場合、スタッフの紹介や仕事風景などを中心に撮影すると、自ホテルのホスピタリティがより伝わりやすくなります。
施設やサービスのPR
宿泊施設の設備や高級感をPRしたい場合、文章や画像では伝わらない奥行や質感を表現した動画に仕上げると良いです。また、実際にサービスを受けている様子を撮影すれば、PRに効果的な動画になります。
構成や表現を決める
プロモーション動画の構成や表現手法は、大きく分けて「ストーリー調」「CM調」「紹介調」の3つのタイプに分類できます。
ストーリー調
ストーリー調のプロモーション動画では、シーンや時間帯を明確にした上で、ターゲットに近いモデルが宿泊する様子を段階的に描きます。 チェックインしてから客室に入る様子、客室で眺望を楽しみながら一息つく様子、温泉やサウナで汗を流す様子、レストランで食事を味わう様子などを映像化すれば、視聴者の共感を得やすくなります。
CM調
CM調のプロモーション動画は、文字通りテレビCMに近い構成で制作された動画です。時間軸は一定ではなく、シーンが次々と切り替わるため、スピード感が生まれやすいです。PRしたい項目が多い場合や、SNS向けに短時間の動画を作りたい場合に適しています。導入部分で視聴者の興味を惹ければ、強く印象に残る動画になります。
紹介調
紹介調のプロモーション動画は、宿泊施設の紹介をメインとした動画です。観光名所の映像とともに見どころを解説したり、調理中の映像に併せて食材のこだわりをPRしたりするなど、さまざまな表現方法があります。また、客室スペックの紹介や館内の案内をする目的で使用されることもあります。
プロモーション効果を上げる動画制作のポイント

続いて、プロモーション動画を制作する際のポイントや注意点を紹介します。
コンセプトやイメージに合わせてBGMや音声を入れる
宿泊施設のプロモーション動画を制作するときは、文章に頼りすぎないことがポイントです。コンセプトやイメージに合わせて、BGMや音声を入れると良いでしょう。
同じホテル動画でも、選ぶ曲調によって印象がまったく異なるため、BGMの選定にも注意が必要です。例えば、ゲストの心を癒すことがコンセプトの宿泊施設であれば、ゆったりとした曲を選び、娯楽やアクティビティを重視したホテルであれば、リズミカルな曲を選ぶようにしましょう。
ナレーションを入れる場合も、コンセプトやイメージにあった口調、テンポでの読み上げることが大切です。CM調の短い動画なら早いテンポで、ストーリー調や紹介調の動画なら落ち着いたトーンで話すことで、宿泊施設の魅力が伝わりやすくなります。
画像やテキストでは伝わらない部分を撮影する
ホテル動画を撮影するときは、画像やテキストでは伝わらない部分を撮影することが大切です。例えば、シェフがフライパンを振る姿を撮影する際、画像では一瞬の場面しか表現できません。一方、動画であればシェフが自慢の手さばきでフライパンを振る一部始終を映すことができるため、迫力を伝えることができます。
また、画像やテキストでは紹介しづらいホテル・旅館の裏側を撮影することで、効果的にアピールできます。ベルスタッフがゲストを案内する場面や清掃員が室内清掃を行う場面、警備員が巡回している場面など、視聴者が想像しにくい裏側の場面を積極的に取り入れましょう。
写真映えするスポットや観光スポットを紹介する
宿泊施設を利用する人の多くが、その土地にしかない風景を楽しんだり観光スポットを訪れたりすることを目的としています。従って、宿泊施設のプロモーション動画では、写真映えするスポットや観光スポットを紹介することをおすすめします。
特に、宿泊施設のコンセプトに沿ったスポットを選ぶのがポイントです。例えば、歴史ある旅館の紹介動画であれば、周辺にある歴史的建造物を紹介することで、厳かな印象を与えることができます。
コンセプトが明確なプロモーション動画は、SNSや動画サイトでも話題になりやすいです。拡散されれば高い集客効果が期待できるため、映像の統一感を意識しましょう。
滞在をイメージできるよう工夫する
多くの視聴者が動画を通して知りたいのは、「滞在したらどんな体験ができるか」という点です。そのため、宿泊施設のプロモーション動画では、滞在をイメージできるような工夫を凝らす必要があります。
視聴者に滞在をイメージしてもらうには、外側から表面的に撮影するのではなく、ゲストの目線で動画を撮影することが重要です。
具体的には、客室を360度見渡すように撮影したり、客室から眺められる風景を時間帯ごとに撮影したりするなどの方法が挙げられます。
宿泊施設によっては、バーチャルツアーを体験できるVRコンテンツを導入している所もあります。
ホテルのプロモーション動画を制作する方法

ホテルのプロモーション動画を制作する方法は、自社制作と制作会社への外注の二つがあります。
自社で制作する最大のメリットとして、コストが抑えられる点が挙げられます。自社スタッフで意見交換をしながら構成を決める過程で、宿泊施設の魅力や価値を見つめ直すことができる点も魅力です。ただし、デメリットとして、クオリティの高い動画に仕上げるのが難しい点が挙げられます。動画の質があまりにも低い場合、プロモーション動画によりホテルの印象が悪くなる可能性もあります。
制作会社に外注するメリットとしては、必要な撮影機材が揃っており、動画編集の技術があるため、質の高い動画に仕上げられる点が挙げられます。一方で、動画コンセプトの解釈にずれが生じた場合、期待した内容と異なる動画になってしまうことがあるため、注意が必要です。また、自社で制作するよりもコストがかかりやすいのもデメリットといえます。
ホテルのプロモーション動画を制作会社に外注する際は、事前にコンセプトやターゲット、構成などの具体的な希望を伝えることが大切です。
泊まりたくなる!動画活用でホテルの魅力を紹介
今回は、ホテルのプロモーション動画がもたらす効果やメリット、制作や撮影のポイントを解説しました。
ホテルのプロモーション動画は、ホテルの特徴や魅力を分かりやすく伝えられるコンテンツです。集客やブランディングに大きな効果が期待できるため、自社HPやSNSで積極的に活用していきましょう。
視聴者が「泊まりたい」と思うようなプロモーション動画にするには、ターゲットの明確化や視聴者の心を揺さぶる表現が不可欠です。本記事でご紹介したポイントやアイデアを参考にして、オリジナリティ溢れるプロモーション動画を制作してください。
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