ホテルのダイナミックプライシング導入メリットは?レベニューマネジメントとの違いやおすすめツールも紹介
ホテルのダイナミックプライシング導入メリットは?
レベニューマネジメントとの違いやおすすめツールも紹介

季節や曜日などの需給バランスに合わせて価格設定を変動させ、利益の最大化を図るダイナミックプライシングは、ホテル運営に欠かせない手法です。
長年の勘や経験などで舵取りをしているケースもありますが、それでは個々のスキルによってムラができてしまいます。
需要に対して均質なマネジメントができれば、より効率的に客室稼働率を上げることも可能です。
本記事では、ダイナミックプライシングの概要やメリット・デメリットまで詳しく解説します。
ダイナミックプライシングとは?
「動的価格設定」や「変動価格制」と和訳でき、需給バランスに応じて柔軟に価格を変動させる戦略を指します。
その仕組みとホテル業界における歴史をご紹介します。
ダイナミックプライシングの仕組み
一般的に需要の高まりに合わせて価格を上げ、供給過多になりそうなタイミングで価格を下げるのがダイナミックプライシングの基本です。
ホテルの客室を販売する場合に落とし込んで考えてみましょう。
人の往来が激しくなる繁忙期は、できるだけ高い客室単価を目指すために販売価格を引き上げます。
逆に閑散期は客室単価を下げて、客室稼働率を安定させるために販売価格を引き下げます。
マーケット状況に応じて価格を適切に変動させることで、常に利益を最大化させるのがダイナミックプライシングの真髄と言えるでしょう。
ホテル業界のダイナミックプライシングの歴史
いち早くダイナミックプライシングを取り入れたのがホテル業界でした。
繫忙期と閑散期の波が激しい業界の特性と、それらに応じた価格設定の手法が合致したからです。
1980年代の後半にアメリカで本格的な導入が始まり、新たに設けられた担当者が人力でダイナミックプライシングを施した事例が記録に残っています。
機械学習と自動化の技術が進歩した現在、ホテル業界のダイナミックプライシングは人の手を離れ、AIを使用したシステムによる調整が主流となっています。
ホテルでダイナミックプライシングを導入するメリット・デメリット
ホテル運営にダイナミックプライシングを取り入れるメリット・デメリットを解説します。
ダイナミックプライシング導入のメリット
やはり、利益を最大化できるのがダイナミックプライシングを導入する最大のメリットです。
ホテルが日々の営業で達成すべきは、適切な価格での満室です。
満室になったとしても客室単価が低くては意味がありません。
需要があるときは許容される範囲で価格を上げて、客室単価アップを目指すべきです。
満室が見込めない場合は、価格設定をある程度下げてお得感を演出し、予約を促進させる必要があります。
ダイナミックプライシングを導入すれば、どちらにも臨機応変に対処できるため、ホテルの日々の目標達成を後押しするでしょう。
また、利益の最大化を通して、マーケット動向により深い理解を得られます。
価格戦略にとどまらず、運営方針を定める判断材料にもなり得ます。
ダイナミックプライシング導入のデメリット
利益の最大化は何にも代え難い利点ですが、業務負荷の増加をデメリットとして考慮しなくてはなりません。
多くの工程を自動化できるようになったものの、一年を通して同じ価格で販売することに比べると、どうしても時間と手間がかかります。
しかし時間や人手不足などを理由に管理を怠ってしまうと、逆に損失を招いてしまうかもしれません。
また、ダイナミックプライシングによる臨機応変な価格変動も行き過ぎると顧客離れを引き起こす原因になります。
需要が高いタイミングで宿泊価格が上がること自体は、一般的に浸透しています。
しかしながら、それに甘えて価格を吊り上げすぎてしまうと、宿泊客に悪い印象を与えかねません。
ダイナミックプライシングはホテルの価格変動を管理する点で便利なシステムですが、完全依存はリスクがあることも覚えておきましょう。
ダイナミックプライシングとレベニューマネジメントの違い

日々の価格変動には、ダイナミックプライシングとは別にレベニューマネジメントという手法もあります。
双方の違いは重きを置く予測の範囲です。
前者はホテル開業後からの利用状況に注目して価格を変更するため、現場主義の手法と言えるでしょう。
後者は宿泊客の情報や他社比較に加え、地域のイベントや天候まで考慮した需要予測を基準として価格設定を行います。
そのため、より多角的なアプローチを試みる手法と言えるでしょう。
この2つは掛け合わせることで、さらに利益を生み出す可能性を秘めています。
レベニューマネジメントが導き出した価格を基準とし、ダイナミックプライシングで柔軟な変化を価格に持たせれば、利益の最大化は盤石になるでしょう。
異なる二つの手法を用いるとなれば、どうしても業務負担増加の懸念は拭いきれません。
しかし、業務が浸透した際の利益の還元は期待値の高いものになるはずです。
ダイナミックプライシングやレベニューマネジメントなどのツール活用もおすすめ!

これら二つの手法をホテル運営に活かせるツールを四つご紹介します。
利益の最大化に向けて、実際に利用する場合どのツールが好ましいか、普段の業務と照らし合わせながらご覧ください。
メトロエンジン
メトロエンジン株式会社のメトロエンジンは、AIで可視化されたレベニューマネジメントが強みで、スーパーホテルや東急ホテルズにも導入されています。
また、メトロエンジンはPMSと連携することで価格の自動反映を実現し、ヒューマンエラー防止も期待できます。
PROPERA
いちご株式会社のPROPERAは、さまざまな業態に合わせやすい実践型のレベニューマネジメントシステムです。
15年以上の実務経験と100以上の施設への導入実績で、施設に合わせた柔軟なシステムを構築。
PMSとのデータ連携にとどまらず、PROPERAはPMSの画面内で操作ができます。
レベニューマネジメントシステムをPMSに組み込んだのは業界初で、実績とアイデアが光る製品です。
レベニューアシスタント
レベニューアシスタントは株式会社リクルートが提供するレベニューマネジメントシステムです。
予約状況の変化を視覚的に分かりやすく伝える色付きカレンダーが特徴で、2019年にはグッドデザイン賞を受賞しているユーザビリティに富んだ製品です。
同社が運営する「じゃらん」ともデータ連携ができるよう設計されており、もともと「じゃらん」からの流入が多いホテルの場合、恩恵はより大きくなるでしょう。
Revenue+・D+
ダイナミックプラス株式会社は、レベニューマネジメントもダイナミックプライシングもサービスとして提供しています。
レベニューマネジメントサービスのRevenue+(レベニュー プラス)では、正確な需要予測をカレンダー式のダッシュボードで視覚的に分かりやすく伝達。
ダイナミックプライシングサービスの D+(ディー プラス) では、AIモデルを施設に合わせてカスタマイズし、需要を見極めた最適価格を算出します。
ホテルの価格戦略で収益改善を行おう

ダイナミックプライシングは、需給バランスに応じて柔軟に価格を変動させ、利益の最大化を図る価格戦略です。
単体でも効果が期待できるのはもちろん、レベニューマネジメントとの併用は、さらなる利益を生み出す可能性を秘めています。
手動で行う部分が削減され、誰でも扱えるレベルの製品も数多く登場しているので、ぜひ導入をご検討ください。
※掲載されている内容は公開日時点の情報となります。