ホテルリニューアルの目的やポイント|改修時の注意点や成功事例を紹介
ホテルリニューアルの目的やポイント|改修時の注意点や成功事例を紹介

インバウンド対策や新たなニーズの開拓、ゲスト単価の向上など、ホテルを改修する目的は実にさまざまです。
今回は、ホテルリニューアルのメリットや実際の事例、成功させるポイントなどを詳しく解説します。
ホテルリニューアルを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ホテルをリニューアル・改装するメリット

ホテルをリニューアル・改装するメリットをご紹介します。
顧客満足度の向上
客室や設備の更新は、顧客満足度の向上に直結します。
しかしながら単純に古いものを新しくすればよい、というわけではありません。
昨今はホテルの滞在時間に価値を求めるゲストも増えてきており、ほかとの差別化を図った魅力的な滞在ができるホテルが増えています。
それらに埋もれずに効果的に集客を上げるため、ターゲット層に響くリニューアル・改装を施す必要があります。
成功すれば、顧客満足度の向上がリピーターを増やし、良質な口コミ評価から新規顧客の獲得につながる好循環が生まれるでしょう。
収益改善
リニューアルの内容や改装する箇所によって、異なる角度の収益改善が図れます。
稼働率上昇やゲスト単価の向上・コスト削減が、想定される主な改善例でしょう。
ホテルにとってリニューアル・改装は、施設の宣伝にうってつけです。
各種広告などで効果的にプロモーションできれば、人の目を惹く宣伝になるので、予約が増加して稼働率上昇のきっかけになり得ます。
高価格帯の客室を新設したり、バーやレストランなどの付帯施設を増やしたりすれば、ゲスト単価の向上が狙えるでしょう。
エネルギー効率のよい設備に更新すれば、光熱費が抑えられ、相対的に収益が改善されます。
アプローチはそれぞれ異なりますが、どれも収益改善が見込めるアクションには変わりありません。
しかしどれを実行に移すにしても、ホテルにとっては大きな選択です。
長期的な視点に立ち、収益最大化のためにどこへ資金を投入するべきか、慎重に計画を立てましょう。
スタッフの満足度向上
リニューアル・改装の計画によっては、スタッフの満足度向上にもつながります。
快適でキレイな職場で働けて、うれしくない人はいませんよね。
スタッフが頻繁に使用する設備やシステムを更新すれば、仕事のモチベーションを高めたり、業務効率を上げたりもできるでしょう。
リニューアル・改装が行われたばかりのホテルとアピールすれば、新しいスタッフが加わるきっかけにもなりそうです。
ゲストの視点とスタッフの視点、両方にバランスよく配慮して計画を進めてください。
ホテルをリニューアル・改装するデメリット
当然ながら、ホテルにリニューアル・改装を施すデメリットは多額の費用です。
日頃から使用する道具を買い替えたり、消耗品を補充したりすることとは金額の桁が変わってくるでしょう。
ホテルの改修工事・客室リフォーム・リノベーションなどの結果、客足が伸びればリターンは大きいですが、費用を回収できないリスクもあります。
収益の最大化を確実なものにするために、このあとの内容を参考にしてください。
ホテルのリニューアル・改装を成功させるポイント

ホテルのリニューアル・改装を成功させるためのポイントを五つ解説します。
ターゲットを明確化する
費用が発生する前の段階でターゲットを明確に定めておきましょう。
ターゲット次第で、費用を投じる先は180度変わります。
ファミリー層をターゲットにしたいのに、シングルの客室ばかり増やしても意味がありませんよね。
費用が発生しているタイミングでの方針変更は、経費の無駄になります。
また、ターゲット層と改修の方向性がかみ合っていないと、収益の最大化は実現できません。
ホテルのリニューアル・改装は、検討段階で目的を明確にしてから、具体的な準備に移ってください。
デザインやコンセプトを決める
ターゲットが決まったら、そこに求められるデザインやコンセプトを考えましょう。
自社HP・OTAサイトで掲載されている写真や施設情報を見た利用者が「私のためのホテルだ」と感じ取れるような一貫性のあるものが理想的です。
ビジネス層向けに仕事の快適さを提供するのか、ファミリー層向けに親子連れでも過ごしやすい空間を用意するのか、さまざまなパターンが浮かびますね。
ターゲットがホテルに何を求めているのかを具体的に考え、リニューアル・改装の計画に織り込みましょう。
ITツールや最新の設備も活用する
長いホテル運営の中でも貴重なリニューアル・改装の機会、ITツールや最新の設備も導入を検討してみてください。
例えば、キャッシュレス決済の対応幅を拡大すれば、それらのユーザーを取り込むきっかけになるかもしれません。
また、家電は改修の時点で最新のものを選ぶと恩恵が大きいです。
テレビや空気清浄機など、客室に設置するものが最新であると、ゲスト単価の向上につながる可能性があります。
一辺倒に最新のものを揃えると費用が膨れ上がってしまうので、ターゲットとデザイン・コンセプトに照らして、資金を集中させる部分を見極めましょう。
資金を調達する
リニューアル・改装の計画が整ったら、次に進めるべきは資金調達です。
ホテルの現状や計画内容によって金額に大きな開きが生じるので、正確な平均値はお伝えできません。
予算感を把握したい場合は、計画を携えてから工務店や建設会社などに相談してみましょう。
系列店や近隣の同業者が直近で改修を行っていれば、その話を聞くのもイメージを具体化する助けになるかもしれません。
加えて、忘れてはならないのが、補助金・助成金の活用です。
地域経済の成長や観光の盛り上がりを促進するため、国や自治体が補助金・助成金を提供している場合があります。
ただでさえ高額になりがちなリニューアルや改装なので、活用しない手はないですよね。
ホテルを構える地域やさまざまな条件で、受けられる補助金・助成金が変わってきます。
活用を検討する場合は、経済産業省や観光庁などのWebサイトで新しい情報を収集し、しかるべき窓口にも相談しましょう。
リニューアル・改装を周知する
ホテルをリニューアル・改装しただけでは、ターゲットまで情報は届きません。
自社HP・OTAサイト・SNSなどあらゆる手段をフル活用して、利用者の目に留まる機会を創出しましょう。
自社HPを刷新して視覚的に「新しさ」を伝えたり、リニューアルを記念したプランを用意してお得感を演出したり、いろいろできそうですよね。
あまり大掛かりなことはできないという場合も、各媒体で使用している写真を差し替えるだけで変化を加えられます。
リニューアル・改装は、その時しか使えない期間限定の宣伝材料なので、機を逃さずにホテルの集客アップへつなげましょう。
ホテルのリニューアル事例
箱根ホテル小涌園 様
1959年に開業した箱根ホテル小涌園は「次世代型リゾートホテル」を掲げて2023年7月にリニューアルオープンしました。
建て替え前は、チェックアウト直前まで滞在するゲストが多いというリゾート施設ならではの特性から、チェックアウト時の混雑が課題だったそうです。
課題解決のため、リニューアルに併せてホテル管理システム「Dynalution」を導入して、客室での精算に対応しました。
導入後はチェックアウトに時間をとられず客室での滞在を満喫できると、ゲストからも好評なのだとか。 今後は客室精算機能の周知に努めて利用率を伸ばし、フロントスタッフの負担軽減も目指していくそうです。
ゲストの傾向とリニューアルの方向性が合致した事例ですね。
トレンドや費用対効果を考慮してホテルリニューアルを始めよう

リニューアルは顧客満足度の向上や客層・収益の拡大を図れる一方で、多額の費用を伴うため、ホテルにとっては将来の分岐点になる極めて重要な機会です。
それを成功させるには、ターゲットを明確にしたうえで、そこに響く一貫したプランの実行が欠かせません。
統一されたデザイン・コンセプトのもと、最新技術も積極的に組み込み、ゲストとスタッフの利便性を高めましょう。
※掲載されている内容は公開日時点の情報となります。