国内OTA・海外OTAの特徴や手数料は?ホテル の掲載メリットや活用のポイントを紹介

国内OTA・海外OTAの特徴や手数料は?
ホテルの掲載メリットや活用のポイントを紹介

OTA(オンライントラベルエージェント)と現代のホテル業界は切っても切れない関係です。
今回は、OTAの基本から担う役割や選び方・導入のポイントまで詳しくご紹介します。
これからのホテル運営をより実りあるものとするため、OTAの活用方法をマスターしましょう。

OTA(オンライントラベルエージェント)とは?

OTA(オンライントラベルエージェント)とは、インターネット上で宿泊プランや旅行先のオプショナルツアーなどを手配できる予約サイト全般を指す総称です。
その仕組みと類似するサービスとの違い、客層ごとの利用率を解説します。
導入を検討する前にOTAの基本を押さえましょう。

OTAの仕組み

実店舗を構えないOTAは、24時間365日の予約受付を可能にするだけでなく、多言語対応により今まで拾えていなかったニーズも満たします。
ホテルから共有された情報をベースに、作成した宿泊プランをOTAサイト内で掲載。
利用者はお好みの条件で検索を行うことで、複数のホテルやサービスを一覧で比較できます。予約が成立すると、OTAがホテルに情報を共有。ホテルはその情報に応じて客室やサービスの準備を進め、宿泊客を迎える態勢を整えます。宿泊客におもてなしを提供したホテルが、OTAに手数料を支払い、一連の工程は終了です。

メタサーチや旅行会社との違い

類似するサービス形態にメタサーチや旅行会社(リアルエージェント)があり、混同されがちですよね。 それぞれの特徴をまとめました。

■OTA(楽天トラベル、じゃらんnetなど)
・実店舗を持たない
 ・ポイントプログラムが設けられており、繰り返しの利用がお得
 ・レンタカーや航空券など、宿泊に伴う周辺の予約も一括で可能

■旅行会社(JTB、東武トップツアーズなど)
 ・主戦場は店舗営業
 ・利用者に応じた柔軟な旅行プランを作成
 ・旅行保険の手配やツアーの企画など、取り扱うサービスが幅広い

■メタサーチ(トラベルコ、trivagoなど)
 ・旅行サイトを集約した網羅性の高い情報で、簡単に比較検討が可能
 ・豊富な選択肢で、目的の決まっていない利用者にもアプローチできる
 ・利用者が最安値にたどり着きやすい

利用者とホテルを結ぶ根本的な機能は同じですが、重点を置く情報や得意とするアプローチはまさに三者三様。 それぞれの違いを理解して、効果的にホテル運営へ取り入れましょう。

OTAの利用率

OTAの利用率を国内旅行者とインバウンド(訪日外国人)に分けてご紹介します。

国内旅行者のOTA利用率

令和5年度に一般社団法人日本旅館協会が行った「営業状況等統計調査」における国内旅行者のOTA利用率は43.3%です。 旅行会社(リアルエージェント)の26.8%や自社HPの14.4%と比べても高い水準ですね。 国内の宿泊施設を対象として、インターネット上の予約方法についても調査されており、OTAと自社HPの両方を使用している施設は97.9%です。

インバウンド(訪日外国人)のOTA利用率

日本政府観光局(JNTO)の「2023年 予約方法別の内訳(全体)」によれば、インバウンドの78%が予約をインターネットから行っています。 多言語対応に加えて、未知の土地である日本の宿泊施設を一覧で比較できる利便性から、OTAサイトが重宝されていると予想できますよね。
多くの施設にとって、OTAに頼らざるを得ないニーズの高さがあると言えるでしょう。

ホテルがOTAを活用するメリット

認知度アップ

自社HPは長期的な目線でSEO対策を行わなければなりませんが、OTAサイトはSEO対策がすでに施されており、短期でホテルの認知度アップが期待できます。
検索エンジンでの上位表示は、インターネットでの露出の増加を実現。多言語対応により国内旅行者だけでなく、インバウンド需要も取り込めるようになるでしょう。予約の間口が飛躍的に広がり、利用者の増加にもつながります。

初期費用がかからない

利用開始に伴って発生する初期費用はありません。
予約確定時に手数料が発生するものの、検索エンジンで上位表示されるWebサイトに初期費用なしでホテルの情報を掲載できるメリットは大きいでしょう。
いわば人の往来が活発な繁華街の目立つ場所に、無料で広告を掲載できるようなものです。
訴求範囲の広さとコストの低さから、費用対効果の期待値が高い手法と言えるでしょう。

集客チャネルの拡大

多言語対応を可能にするOTAは、ホテルに集客チャネルの拡大をもたらします。
自社だけでは開拓できなかった海外の販路を少ない労力で広げられるのは、大きなビジネスチャンスと言えるでしょう。インバウンドの受け入れ経験が浅い場合でも、経由されたOTAが当日までサポートしてくれます。
収益増加に向けて、OTAによる販路拡大もぜひ検討してみてください。

予約業務の負担軽減

24時間365日受付が可能な予約方法が加わることで、集客増加に加えて、予約業務の負担軽減が見込めます。
Webサイト上で完結するため、利用者の利便性向上と販売機会の損失を防ぐことが可能です。
さらにスタッフを介さない仕組みで、これまでの予約業務から、別の業務に割ける労力と時間を生み出すでしょう。

ホテルがOTAを活用するデメリット

手数料がかかる

予約確定時に発生する手数料は、デメリットに違いありません。
電話や自社HPの予約だと手数料が引かれないため、OTAの予約に比べて単純な利益は大きくなります。加えて、OTAサイト内での訴求力を向上させるために有料広告や有料販促などを利用すれば、費用はさらに膨れあがるでしょう。便利な反面、予約の損益分岐点を常時念頭に置かなければなりません。
利便性と費用のバランスを気にしながら活用しましょう。

ホテルの魅力を伝えきれない

OTAサイトは統一感が求められるため、写真の種類や掲載する情報に制約が発生します。自社HPのように、施設の魅力を最大限発揮するためのWebサイト構築はできません。
言い換えれば、比較のしやすさが利用者にとって大きなメリットの一つです。競合他社と同じ土俵で選ばれるためのオリジナリティを発揮するには、自社HPに行うSEO対策とは角度の異なる対策が求められます。
本格的な導入の前に、各OTAサイト内の競合他社のページを閲覧し、魅せ方を研究してみましょう。

価格競争になりやすい

統一された規格で競合他社と同じページに情報を掲載する都合上、低価格競争に陥りやすいのが難点です。
同程度の質のホテルが複数見つかった場合、最後の決め手になりがちなのは「どちらが安いか」ですよね。
OTAサイトでは、コンテンツで独自性を出して競合他社との差別化を図りにくい分、価格で差をつけようとする動きが起こりやすくなります。低価格競争による損失を取り返すために、経費削減でサービスの質を落とし、ホテルの評判を下げてしまっては本末転倒です。
ホテルを構えるエリアの適正価格を常に確認し、利益の期待できる正確な価格の舵取りを心がけましょう。

ホテルでOTAを活用するときのポイントや注意点

ホテルでOTAを活用するときのポイントや注意点を四つのパートで解説します。

サイトコントローラーを導入する

利用者の予約方法の選択肢が増えるのに比例して高まるのが、オーバーブッキングやダブルブッキングのリスクです。それまでの電話や自社HPに複数のOTAサイトが加わるとなれば、予約担当者を設けたとしても、ミスのない管理は難しいでしょう。費用をかけて問題を増やしてしまっては意味がありません。
OTAの活用を見据えて導入の検討をおすすめするのが、サイトコントローラーです。客室数を一括で管理できるようになるため、これらのトラブルを防止してくれます。
加えて予約にまつわる情報管理の効率化も期待できるので、スタッフの予約管理業務における負担軽減にもつながるでしょう。

ホテルにあったOTAを選ぶ

効果的に収益を増やすには、ホテルに適したOTA選びが欠かせません。国内と海外のどちらに訴求の軸を置くのか、どの客層に注力するのかなどでOTAの最適解が変わってきます。 運営会社によって得意分野が異なるため、方針やホテルの強みを明確にしたうえで、それらとシナジーの高いOTAを選びましょう。
主要なOTAについては、国内と海外に分けて、運営会社とともに一覧で記事の後半にご紹介します。ぜひそちらも導入の参考にしてください。

施設情報や魅力が伝わるように工夫する

正確な情報を分かりやすく掲載したうえで、競合他社に埋もれない力強い魅力を発信するのが、OTAサイトを使いこなすポイントです。
人の目を惹くのに重宝するのが、掲載する写真や画像です。豪華な食事や広々とした大浴場、客室から望む絶景やリーズナブルな価格など、ホテルごとに趣の異なる魅力がありますよね。それらの写真や画像を掲載し「ホテルに行くと何が楽しめるのか、どのような得があるのか」を明示しましょう。
また、利用者がスムーズに詳細な情報までたどり着けるページ構成も大切です。ご自身が宿泊先を探すとき、インターネットでどのような情報を知りたいですか?例えば用意されているアメニティが分かれば荷造りがはかどりますし、近隣のスポット紹介があれば観光の目的地が増えるかもしれません。
具体的な滞在イメージを持ってもらえるよう、利用者の視点で掲載する情報とその配置を考えてみましょう。

口コミやレビューを管理する

競合他社がひしめき合うOTAサイトにおいては、口コミやレビューも管理が欠かせません。口コミとレビューのプラス評価の数は、掲載順位を大きく左右するためです。利用者がそれらを書き込みたくなるサービスの提供はもちろん、厳しい意見をいただいた場合にはフォローアップも重要です。
高い評価でも低い評価でも、放置されているとホテルのよい評判には結びつきません。
お褒めの言葉には感謝を伝え、指摘や低い評価は真摯に受け止めて、次につながる対応を徹底しましょう。

国内OTAの一例

国内OTAの一例

まずは代表的な国内OTAを五つご紹介します。
国内需要を取りこぼさないために、導入を考えてみてください。

じゃらんnet

株式会社リクルートが提供するじゃらんnetは、約2万7,000件以上のホテル情報を掲載する国内でも最大手のOTAです。
コマーシャルにも登場する公式キャラクターの「にゃらん」は有名ですよね。出張や日帰りなどの目的別検索に対応し、利用者が理想のホテルやプランにたどり着きやすいページ設計になっています。
家族連れやペット可などの細かいニーズも見逃さないコンテンツの隙のなさに加え、旅行とは異なるサービスと併用できるポイントの豊富さも魅力です。

  • リクルートポイント
  • dポイント
  • Pontaポイント

上記のポイントサービスとすでに提携していたり、関連する決済方法の利用が多かったりする場合は、前向きに活用を検討してよいでしょう。

楽天トラベル

楽天グループ株式会社が運営する楽天トラベルは、じゃらんnetに次ぐアクセス数を誇るOTAです。楽天市場でショッピングの経験がある人も少なくないでしょう。
宿泊の予約をすることで、日頃から貯めているポイントがもらえるなら、そのOTAサイトを利用しますよね。 系列サービスの潜在的な顧客の多さは、楽天トラベルの明確な強みです。特筆すべきOTAの機能はカスタマイズページの作成。
統一規格での情報掲載が求められることが多いOTAですが、楽天トラベル場合はその限りではありません。ホテルごとのページ構成が施設側にある程度ゆだねられており、カスタマイズによって個性を出せます。
SEO対策のレベルが高いWebサイト内で、自社HPに近い自由度で情報発信ができるのはうれしいですね。

一休.com

株式会社一休の一休.comは「こころに贅沢させよう」を掲げ、高級感を追求したホテルや旅館を取り扱うOTAで、富裕層を中心に重宝されています。
ホテルのコンセプトが合致すれば、第一候補になるでしょう。
ただし、掲載するには審査を通過しなければなりません。一定の基準を満たさないと登録ができない仕組みになっているので、すでに掲載されている競合他社を参考に対策を講じる必要があります。ほかのOTAと比べて初動の手間が多い反面、ホテルの強みにマッチしたユーザーが集まりやすいのが利点と言えるでしょう。

Yahoo!トラベル

Yahoo! JAPANが管理するYahoo!トラベルは、一休.comとの連携で約1万7,000件の宿泊施設情報を掲載するOTAです。
PayPayポイントと連携しているため、Yahoo!の会員に加えて、ソフトバンクの利用者にも訴求のチャンスがあるでしょう。楽天と同じように、系列サービスの利用者の豊富さが心強いですね。
ほかにもるるぶトラベルやJTBの比較機能やホテルの路線図検索など、独自のサービス展開で個性が光ります。

るるぶトラベル

JTBグループが立ち上げたるるぶトラベルは、JTBのホームページと海外OTAのAgodaとの連携により、インバウンド需要への対応も強化しているOTAです。
約1万8,000を超える国内外の宿泊施設情報が掲載されており、販路の広さからも、集客の期待値は高いでしょう。

海外OTAの一例

海外OTAの一例

次に代表的な海外OTAを五つご紹介します。
インバウンド需要のさらなる取り込みも視野に入れるのであれば、前向きに導入を検討しましょう。

Booking.com

オランダに本社を構えるBooking.comは、約70ヵ国で予約サイトを運営するワールドワイドなOTAです。
対応可能な言語が43もあり、世界中で予約サイトを利用できるため、インバウンドの流入に注力するなら筆頭候補になるでしょう。それまで縁がなかった国の利用者が、ホテルを訪れてくれるかもしれません。
日本国内にも子会社があり、24時間365日稼働しているカスタマーサポートは、日本語にも対応しています。インバウンドの受け入れ実績の少ないホテルでも安心ですね。

Expedia

マイクロソフト社の一部門として設立されたExpediaは、アメリカで最大級のOTAです。
重要視しているのは、宿泊とそれに伴う移動との連動制です。ホテルや航空券などを旅行のたびに別々の予約サイトで手配するのは大変ですよね。Expediaは、宿泊先と交通手段の手配を一度で済ませられるダイナミックパッケージを提供しています。
旅行はしたいけれど、予約を何回もするのが面倒で重い腰が上がらない、という人もExpediaなら予約に踏み切ってくれるかもしれません。
業界屈指のシェアと利便性の高いプランで、集客の柱となってくれるでしょう。

AirBnB

アメリカでサービスが開始されたAirBnB(エアビー)は民泊向けに設計されたOTAで、取り扱う宿泊施設は一棟貸施設や貸別荘などが主流です。利用されている国は190ヵ国以上と、ほかの予約サイトの追随を許しません。
利用想定がほかのシステムと異なるので、施設を選ばずに活躍できるわけではありませんが、AirBnBだからこそ対応できる領域もあります。一棟貸しの予約や清掃費用の設定など、ほかでは完備されていない機能が目白押しなので、みなさんの「やりたい!」を叶えてくれるかもしれません。
一般的なホテル向けのOTAで対応できない業務がある場合は、ぜひAirBnBを検討してみてください。

Agoda

Booking.comのグループであるAgodaは、アジアを中心にサービスを展開するシンガポールが拠点のOTAです。
予約サイトの構造が他社のものと比べてもシンプルで、ユーザビリティに優れています。利用者がより早くホテルの情報に行き着けば、閲覧数に対する成約率の向上も見込めるため、ホテルとしてもうれしいですね。
利用者の視点では、料金がリアルタイムで更新されるので、常に最新価格で予約ができる利便性もあるでしょう。
他方でホテル側からすると、設定した料金と利用者の決済金額に差が生じるリスクがあります。なぜならば、最終の価格調整がAgoda側で行われているからです。利用者への伝え方や対応によっては、クレームに発展するかもしれません。料金に関わる応対の際には、見落としがないか細心の注意を払いましょう。

Trip.com

Trip.comは中国で最大手のOTAで、アジアでのインターネット露出や最安値表示に注力しています。
頻繁なプロモーションプランの提供に加え、割引コードの配布も盛んなため、利用者がお得を感じやすいのも強みと言えるでしょう。リピーター創出の取り組みとして、会員ランクやポイントの制度も導入されており、Trip.comからの流入がホテルのリピーター獲得にもつながるかもしれません。アジアのニーズ発掘を考えている場合は、特におすすめです。

OTAをうまく活用しながら自社予約も増やそう

サイトコントローラーを導入するメリット

今回は、ホテル業界に欠かせない存在、OTAについて具体的な予約サイト名も交えながら解説しました。
類似したサービスであるメタサーチや旅行会社(リアルエージェント)との違いを理解する一助になれば幸いです。
OTAは運営する会社によって、重点を置いているポイントや力を入れている地域などが異なります。無造作に複数のOTAサイトへホテルの情報を掲載しても、効果的な集客力アップにはつながりません。
それぞれの特徴をホテルの強みや運営方針などに照らし、どのOTAサイトが最適解になり得るか見極める必要があります。
またOTAサイトの予約比率が上がり過ぎると、有料広告や手数料などがホテルの大きな負担になりかねません。
自社HPによる集客にも注力し、OTAに頼りきりにならないバランスを維持するのが肝心です。

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