キャンプ場に必要な資格や費用は?開業の流れや成功のポイントを解説
キャンプ場に必要な資格や費用は?開業の流れや成功のポイントを解説

キャンプ需要が高まり続けている昨今、キャンプ場経営にはビジネスチャンスが眠っています。
しかしながら、始め方や費用などがイメージしにくい場合が多いのではないでしょうか。
今回は、キャンプ場経営のメリット・デメリット、開業までの手順や費用などを解説します。
キャンプ場経営を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
キャンプ場経営のメリット
まずはキャンプ場を経営するメリットを二点ご紹介します。
キャンプ需要が増加している
他人と適度に距離をとりながら楽しめるキャンプは、コロナ禍で人気に火がつき、現在もキャンプ市場は伸びを見せています。ブームでキャンプを始めた人が、そのまま定着したのに加えて、コロナ禍がもたらしたライフスタイルの多様化も追い風となりました。
また平日の利用やソロキャンパーが男女問わず増加したことで、収益の見込める期間が局所的なものから持続的なものに変化しています。さらに時代とニーズの変化を受けてか、キャンプ場の開業は事業再構築補助金の対象にもなっており、新規参入がしやすい土壌が整っています。
これからの成長が見込まれた将来性のあるビジネスと言えるでしょう。
土地と少額の費用で始められる
キャンプ場経営は、開業に大掛かりな設備投資や建設を必要としないため、初期費用が少額で済むケースが多いです。
スタンダードなキャンプ場であれば、利用者がテントを設営する場所と炊事場や駐車場などの簡単な設備でスタートラインに立てます。キャンプ場のコンセプトにもよりますが、土地に手を加えずに利用することも可能でしょう。すでに手つかずの土地を保有していたり、既存のキャンプ場を引き継いだりする場合は、さらに初期費用を抑えられることもあります。
現存のキャンプ場は1990年代のキャンプブームに乗じてオープンしたものも多く、後継者を探しているケースも珍しくありません。キャンプ場経営を始めたいけれど、初期費用に充てられる予算が少ないという場合は、そのような既存施設を探してみるのも手段の一つでしょう。固定客のニーズをそのまま満たせれば経営がすぐに軌道に乗るため、少ないリスクで短期間に結果を出せる見込みがあります。後継者がいなければ閉鎖されるはずだった施設を存続できれば、地域貢献にもつながりそうですね。
キャンプ場経営のデメリット
次にキャンプ場を経営するデメリットを二点解説します。
オフシーズンの集客が難しい
近ごろは春夏秋冬全てを楽しむキャンパーが増えてはいるものの、繁忙期と閑散期で収益の増減が激しいのがキャンプ場経営の常と言えるでしょう。
加えて、天気が安定しない梅雨の季節などは予約のキャンセルも増えてしまします。
キャンプ場を構える土地の気候によっては、そもそもキャンプができない時期も出てきますよね。
自然の中で商いをするからには、キャンプ場経営が厳しい状況に置かれても、それを乗り越える力が求められます。
コテージやロッジといった天候・季節に左右されにくい施設を併設するなど、オプションを用意すれば、ある程度のリスクは軽減できます。
悪天候でも決行できるアクティビティを含め、開業準備を進めながらアイデアを練っておきましょう。
競合との差別化は必要となる
キャンプ場経営に限った話ではありませんが、情報があふれる現代社会では、いかなる分野であっても競合との差別化を図る経営戦略は欠かせません。
需要が安定しており、これからも新規参入が増える見込みがあるビジネスなら、その重要性はさらに高まります。
打ち出す強みが斬新奇抜なものである必要はありませんが、情報量に埋もれないプロデュース力は求められるでしょう。
初期投資に充てられる資金が潤沢だったとしても、ニーズの把握や宣伝戦略が伴わなければ意味がありません。
ご自身のキャンプ場を正しく導けるよう、今から知見を深めていきたいですね。
キャンプ場の種類

一口にキャンプ場と言っても、その形態は実にさまざまです。
代表的なものを四種類ご紹介しますので、実際に開業するならどのようなコンセプトにしたいか、考えながら見ていきましょう。
野営キャンプ場
野営キャンプ場は、テントを張れるだけのスペースを自然の中に確保し、最低限の設備を用意したシンプルなキャンプ場を指します。
土地の整備も設備投資も最小限で済むため、初動のコストを抑えたい場合はおすすめの形態です。
しかしながら収益が発生する機会も限られるので、大きいリターンを得るにはもうひと手間が必要になってくるでしょう。
また、シンプルなキャンプ場ゆえに、利用するハードルが高くなりがちなのも難点です。
利用者のサバイバルスキルと装備にある程度のレベルが求められてしまいます。
キャンパーとして上達したい人や本格派な人にはうってつけかもしれませんが、初心者は候補から外してしまうかもしれません。
安いコストで野営キャンプ場をスタートさせる場合は、費用を投入するポイントを見極め、収益の見込めるキャンプ場に育てていく必要があるでしょう。
オートキャンプ場
オートキャンプ場は、利用者が設営をするスペースに車を停めておけるキャンプ場です。
荷物が多いキャンプ、駐車場と野営地を何回も往復せずに済むというだけで、利便性の向上につながりそうですよね。
貴重品を保管できたり、急な悪天候でも車内に避難できたりと乗ってきた車がキャンプをサポートしてくれるので、初心者も安心です。
さらに野営キャンプ場と比べて、利用者を選ばないことも特徴です。
とはいえ、貸し出すスペースを広めにする必要がありますし、可能な限り車種を問わず走行できるルートを整備する必要があります。
そのため、初期費用はやや高めになるでしょう。
移動制限や長時間のアイドリング禁止など、車に関わるトラブルを防止するルールの取り決めも大切です。
コテージ・ロッジ・バンガロー
宿泊施設をキャンプ場で保有するパターンもあります。キャンプサイトを併設して幅広いニーズに対応したり、施設を充実させてホテルに近い快適さを提供したり、さまざまな差別化ができそうですよね。
天候に左右されにくいのはもちろん、テント宿泊が難しい小さいお子様やご高齢の方も一緒に楽しめるため、ターゲット層の拡大も図れます。
当然ながら初期費用として宿泊施設の建設費が必要になるほか、テントでの宿泊を想定しているキャンプ場より維持費も必要です。
収益を上げられる可能性がある分、リスクも伴うので万全の計画を立てましょう。
グランピング施設
「キャンピング」の前に、「はなやか」を意味する「グラマラス」を足したグランピング。
その造語の成り立ちが表す通り、グランピング施設はテント宿泊と宿泊施設の良さを掛け合わせた形態です。
個性のある外観に大きな窓で自然の中にいる開放感を損なうことなく、ホテル並みに過ごしやすい室内空間を提供することで人気を集めています。
利用者は、一般的なキャンプで必要な道具を揃える必要はありません。
誰でも手ぶらで非日常の自然を味わえるため、利用のハードルが低く、収益を伸ばしやすいスタイルと言えるでしょう。
一方で特別感の提供が前提にあるので、利用者の求めるサービスが野営キャンプ場やオートキャンプ場のそれとは異なることに留意しなければいけません。
ホテルのようなハウスキーピングの質が当たり前とされますし、食事の提供も主流なので、ほかの形態にはない業務が発生します。
用意すべき設備や備品、必要になる許認可まで大きく変わるため、一層入念な準備が欠かせません。
トレーラーハウス
トレーラーハウスは、宿泊や滞在を想定した設備を搭載している車のことで、ルーツはアメリカにあります。
コテージやバンガローと比べて近代的かつ、グランピングのように開放感があるので近年人気が高まっています。
運営面での魅力は、ルールを守って設置すれば固定資産税の対象にならないこと。
建築物ではなく車両扱いになるため、節税も見込めます。
天候や季節に左右されにくい施設にしたいけれど、大きな施設を維持できるほど資金はないという場合は、最適解になり得るポテンシャルを秘めています。
キャンプ場開業に必要な資格や許可
キャンプ場開業に必要な資格や許認可は、業態とサービスの提供範囲で変わるため、どのようなものがあるかケースごとに確認してみましょう。
宿泊施設の提供を行う
・旅館業営業許可
コテージやグランピングなどキャンプ場内に常設の宿泊施設がある場合、旅館業営業許可が必要になります。
利用者がテントを設営する場合は、旅館業営業許可は不要です。
食材や料理の提供を行う
・飲食店営業許可
朝食などをサービスとして提供する場合は、飲食店営業許可が必要です。
食品衛生責任者を設けたうえで、水質検査を実施して保健所に申請しましょう。
・食肉販売業許可
バーベキュー用に生肉をキャンプ場内で提供するときは、食肉販売業許可が別で求められます。
飲食店営業許可と同様に、水質検査と保健所への申請を済ませておきましょう。
・防火対象物使用開始届
調理用に火器を使用する場合は、防火対象物使用開始届が必要です。
こちらは管轄する消防署に提出してください。
酒類をビン・缶のまま提供する
・酒類販売業免許
酒類をビン・缶の状態で販売する場合は、酒類販売業免許が求められます。
管轄する税務署に申請しましょう。
グラスなどに注いで販売する場合は、飲食店営業許可の領分なので酒類販売業免許は必要ありません。
・深夜酒類提供飲食店営業届
深夜0時以降に酒類を提供する場合は、上記の許可とは別に深夜酒類提供飲食店営業 届が必要になります。
こちらは届け出るのが警察署なので、管轄の違いに注意しましょう。
入浴施設を設置する
・公衆浴場営業許可
公衆浴場の設置をする場合は、公衆浴場営業許可の申請が必要です。
テントサウナも対象になるので気をつけてください。
温泉を利用する場合は、別で温泉利用許可も求められます。
これらは都道府県の保健所で申請が可能です。
キャンプ場開業に森林伐採や土地開発を伴う
・林地開発許可
1ha以上の土地を開発する場合は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
事前行儀を経て申請に至ります。
・小規模林地開発行為の届出
1ha以下の土地を開発する場合は、届け出先が市区町村に変わるので注意しましょう。
・伐採および伐採後の造林の届出
1ha以下の土地の開発に伐採を伴う際は、伐採および伐採後の造林の届出も市区町村に提出が求められます。
農地をキャンプ場として活用する
・農地転用届
キャンプ場が市街化区域の場合は、市区町村の農業委員会へ農地転用届を提出します。
・農地転用許可
キャンプ場が都市計画区域や市街化調整区域を外れる場合は、農地転用許可を申請しましょう。
上記のものと名前が似ていますが、こちらの申請先は都道府県知事か農林水産大臣になるので
混同しないように気をつけてください。
ここに列挙したものは、ほんの一部です。 キャンプ場経営を進めるうちに、あとから必要になってくる資格や許認可が出てくるかもしれません。
行政と健全な関係を築けるように新しい事柄に着手する際には、必要な手続きがないか確認するクセをつけていきましょう。
キャンプ場の開業・経営にかかる費用
次にキャンプ場の開業と経営にかかる費用について解説します。
初期費用
キャンプ場開業に当たって必要になる初期費用は、形態が多様化しているので平均を出しにくいのが実情です。
最小限の整地と設備で開業するのと、宿泊施設を建設して始めるのとでは金額に開きが出てしまいますよね。
しかしながら、500万円から5000万円程度に収まる場合が多いようです。
初期費用の代表的なものは下記の通りです。
- 土地の購入費用
- 電気や上下水道のライフライン整備
- 施設や設備の建設費
- キャンプサイトの区画整備
- 必要な許可申請の費用
すでに土地は保有していたり、既存のキャンプ場引き継いだりするケースもあるため、参考程度の情報として覚えておきましょう。
ランニングコスト
キャンプ場のスタート以降にかかるランニングコストは、下記のようなものが考えられます。
- 維持、修繕費
- 光熱費
- 事業税、固定資産税
- 宣伝広告費
- 委託費用
- 通信費
- システム管理費
- 車両、燃料費
- 消耗品費
- 人件費
- 保険料
初期費用と同じようにそれぞれの状況によって金額は変わりますが、どれも適切に節約すべきなのは共通ですね。
経費節約を念頭において無駄なく、利益が最大化された経営を目指しましょう。
キャンプ場開業までの流れ

キャンプ場開業までの流れを四つのステップで解説します。
コンセプトを決める
費用が発生する準備に取りかかる前に、必ずキャンプ場のコンセプトを明確にしておきましょう。
ターゲットの需要を射止めるには、それに合致するサービス・施設を的確に揃えなければいけません。
コンセプトがぼやけていると、せっかく費用をかけて準備した備品や設備を活かしきれないという事態に陥る可能性もあります。
しかしながらコンセプトに基づいたサービス・施設を準備できても、利用者に情報が届かなければ収益にはつながりません。
SNSや広告など、あらゆる手法を用いて、キャンプ場の魅力を発信する宣伝活動にも注力しましょう。
コンセプトが決められないようであれば、先述したキャンプ場の種類から候補を絞ってみてください。
土地を探す
コンセプトが定まったら、それを叶えられる土地を探しましょう。
たとえばオートキャンプ場を想定していたら、車道の広さが十分に確保できない土地は選べませんよね。
土地を手に入れてから考えていたコンセプトとの食い違いが起きると、取り返しのつかない場合もあります。
土地ありきで考えるのではなく、コンセプトを実現できる土地を探すという姿勢で臨みましょう。
すでに土地を所有しているケースも少なくないと思いますが、その場合は、土地のポテンシャルが発揮されるコンセプトを探すのが良いかもしれません。
また、土地のタイプによって開発の可否や課せられる税金が変わってくるので、事前の確認を心がけましょう。
建設計画を立てる
コンセプトや土地が決まると、建設計画を立てる段階に突入するため、いよいよキャンプ場開業が現実味を帯びてきます。
設置する設備の種類やそれらの配置を詰めていきましょう。
検討段階から工事を依頼する業者の選定を進めておくと、すぐに次のステップへ進めます。
資格や許可を得る
ここまで開業準備が済めば、必要な資格や許可も自ずと見えてくるはずです。
本記事で紹介したものを踏まえ、必要なものを確実に揃えてください。
資格の取得や許可が出るまでに時間を要するケースもあるので、営業開始日がすでに決まっているようであれば逆算して動いていきましょう。
キャンプ場開業には、しっかりとした計画と準備が大切

オートキャンプ場やグランピング施設など、キャンプ場にはさまざまな形態があります。 ご自身の思い描くコンセプトがどのスタイルに近いかで準備するものが大幅に変わってくるため、コンセプトを固めてから具体的な行動に移りましょう。
初期費用を抑えて需要を理解した設備投資ができれば、キャンプ場経営による収入にも差が出てくるはずです。
ぜひキャンプ場経営について前向きに検討してみてください。
※掲載されている内容は公開日時点の情報となります。