ブッキングカーブ作成用テンプレート
- 予約のペースや傾向を把握
- 販売可能客室数や予約客室数のデータからグラフを作成
- 複数のグラフの比較で分析が可能
ホテル経営では、部屋の予約数を管理してキャンセル数や売れ残り数を減らすことが重要です。しかし、経験やノウハウに頼りがちなポイントであることから、なかなか適切に調整することが難しい課題を抱えているホテルが多く見られます。
そこで近年導入されているのがブッキングカーブであり、効率的な客室の管理に役立っているのです。本記事では、効率的なホテル経営の実現に欠かせないブッキングカーブについて詳しく解説します。またレベニューマネジメントとの併用によるメリットなどについても紹介しますので、ぜひご覧ください。
ブッキングカーブとは、ホテルなどの宿泊施設において予約のペースや傾向を把握するためのグラフを指します。ブッキングカーブのグラフは縦軸が稼働率、横軸で宿泊当日までの残り日数です。予約が埋まって行くことで予約推移が曲線を描くことから、ブッキングカーブという名称がつけられています。
ブッキングカーブの分析によって、宿泊当日までにどれくらいの予約が入っているかということや、どういうときに予約が入りやすいかといった傾向が分かります。分析結果から宿泊料金の設定を見直したり宿泊プランを見直したりする施策を検討することができ、宿泊設定の改善によってさらに多くの予約が期待できるでしょう。
また予約のペースを把握だけでなく、予約状況から施設の経営改善におけるチェックポイントを見つけることも可能です。たとえば高級感を売りにしている施設ではブランディングの戦略を練ることができ、リーズナブルで回転率を重視しているホテルでは価格戦略を見直すきっかけになるでしょう。
なお、ブッキングカーブはExcelで作ることも可能ですが、基本的にレベニューマネジメントツールを使って作成します。レベニューマネジメントはブッキングカーブとの相性がいいので、それぞれ合わせて利用することをおすすめします。
レベニューマネジメントとは、需要を予測することで適切な販売管理を行い、収益を最大化するための経営戦略です。宿泊施設のユーザーの需要を予測しながら、適切なサービスを提供することで収益の最大化を目的として行います。
このようにレベニューマネジメントでは需要を予測しながら経営戦略を立てられるため、予約の需要予測に使われるブッキングカーブとの相性に優れています。ブッキングカーブをチェックするときにレベニューマネジメントの予測データを確認しておけば、経営改善などに役立つ戦略が練りやすくなるのです。また予約を適切に管理できるようになるメリットもありますので、オーバーブッキングなどのトラブルを防ぐことも可能です。
さらにレベニューマネジメントではユーザーの需要を経営に反映できますので、「早期の予約でお得に利用できた」「宿泊直前ギリギリでも予約ができた」などさまざまなニーズを満たすこともできます。要望に寄り添ったサービスができるため、満足度向上につながるでしょう。
なお、レベニューマネジメントでは将来的に利益が上がるようにするために、実際の収益や予測と比較しながらデータを収集することが重要です。たとえば実際の収益が予測よりも少なかった場合には、原因を考えて対策を考えることが求められます。このように漸進的な対応が求められる点に注意しましょう。
ブッキングカーブの利用には、以下のようなメリットが挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
ホテルの経営では、客室の稼働率が重要なポイントとなります。そのため客室の売れ残りを最小限にするために、どのくらいの価格にすれば予約が埋まりやすいのか考えることが重要です。
そこでブッキングカーブを活用すれば利用状況や予約の情報が分かるため、価格設定に役立ちます。つまり、ブッキングカーブを利用することで日々の予約状況から収益を上げるためのヒントが得やすくなるのです。
客室は1年中同じように売れやすいわけではなく、季節やイベントなどによって需要は変動します。そのため客室の予約状況の予測は困難ですが、ブッキングカーブを使えば過去のデータをもとに利用者の需要を分析できるため、時期に合わせた経営戦略が練りやすくなるのです。過去における同じ日のデータをもとに分析してくれるため、同様のイベントがある時期の客室需要について把握しやすくなります。
またブッキングカーブでは、過去の予約データから利用者の需要を分析・予測することも可能です。その結果から残りの客室の適切な価格も提示できるため、戦略が練りやすくなっています。つまり、売れ残りの客室が減って収益を最大化できるのです。
ブッキングカーブを活用すれば、キャンセル数を正確に把握することも可能です。過去のデータから、時期別にどれくらいのキャンセルが出たのか分析できます。その結果、キャンセル数を把握してユーザーのニーズを見越したうえで、計画的に部屋の予約を受けつける戦略が立てられるのです。
ホテルの経営ではキャンセルが大きな懸念事項の一つですので、基本的にキャンセルを見越おして部屋数よりも多くの予約を募集します。しかし、この方法でもオーバーブッキングのリスクが考えられるのです。
そこで便利なのがブッキングカーブであり、過去のデータからキャンセル率を割り出すことで対策を練ることができます。適切な対策を講じれば、高い稼働率をキープしたうえでオーバーブッキングのリスクも減らせるでしょう。
宿泊料金が安すぎると利益につながりにくく、高すぎても需要と見合わずに思うように予約が取れない事態が考えられます。このように客室の価格設定は繊細な課題となっていますが、価格設定でもブッキングカーブが役立ちます。
基本的に過去のデータを入力するほど、ブッキングカーブの精度は高まるとされています。そのため同じ時期の売上や稼働率などを分析したうえで、その時期における適切な客室の価格を自動で提案してもらえるのです。
またブッキングカーブとレベニューマネジメントツールを組み合わせることによって、日や月ごとの収益目標をもとに現在の売上実績との乖離を一目でチェックできます。目標と乖離してしまっている理由についても分析を行い、対策を練ることも可能です。
たとえば特定の宿泊日までにどれくらいの部屋が売れ残っているのか、そのうえでどれくらいの価格で何部屋販売すればいいのかといったことが分析できます。また大きなイベントの時期や需要の高い時期に合わせて適切な価格を提案してもらえるため、1年を通して収益の最大化を目指せるのです。
次にブッキングカーブの作成方法について解説します。主な作成の流れは、以下の3ステップです。
ブッキングカーブは過去のデータを入力することで統計データを割り出してくれるため、専門的な知識が不要であり、簡単に作れる点が魅力です。またノウハウがなくても、レベニューマネジメントと合わせて使える点もメリットです。
しかし、ブッキングカーブの精度をより高めるためには、詳細なデータ収集が必要です。入力するデータが多いほど統計で得られる情報の精度も上がるため、まずは情報収集を徹底しましょう。
ブッキングカーブは、ベテランのホテルスタッフと同等の客室需要予測が可能です。ベテランスタッフがいる場合には、客室需要の予測を立てるのも難しくはありませんが、そのスタッフがいなくなってしまえばどうすることもできません。
ブッキングカーブを活用すれば、客室の需要分析のノウハウを社内で共有できる点も強みです。本体客室の需要分析はベテランの従業員が経験などに基づいて行いますが、ブッキングカーブを使えばどのスタッフが分析することができ、レベニューマネジメントにも役立ちます。
このように業務の属人化を防いで、組織全体でホテルを運営できる点が魅力といえるでしょう。
ブッキングカーブを計測するためには、正確なデータの収集が重要です。データ収集を自社で対応できない場合には、ホテル運営のノウハウを持つシステム会社に依頼することをおすすめします。またデータの管理でも分析を効率化するためのツールが必要ですので、こちらもシステム会社に依頼するといいでしょう。
もし自社でブッキングカーブを計測する場合には、予約管理システムと連動できるツールを使って予約状況やキャンセルの状況をリアルタイムで反映させることが重要です。さらに競合分析ソフトを導入すれば、自社の予約状況と市場の動向を照らし合わせることができます。このように便利なツールを使えば、ブッキングカーブをうまく経営に役立てられるでしょう。
レベニューマネジメントツールを活用すれば、ホテル運営の効率化や業務の属人化防止などに役立ちます。またブッキングカーブと併用すれば、価格設定やプロモーション方法の提案、その時期に合わせた客室需要の予測に使えるのです。
このようにホテル運営において総合的に活用できますので、ぜひそれぞれのシステムを導入して併用するといいでしょう。
客室の需要や予約の予測において、適切な分析を行うにはブッキングカーブが有効です。宿泊当日までにどのくらい予約が入っているのか、予約の入り方にどのような傾向があるのかを知ることができますので、価格戦略で役立つでしょう。また自社のデータを蓄積していき、継続的に取り入れていれば大きな運営資産になります。
※掲載されている内容は公開日時点の情報となります。